アンチクライスト!

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見ました。
Q庵のそばの味がふっ飛ぶくらいの衝撃?
唖然とするばかりのネガチブパワー。

予備知識なしで見たらしい俺の後の席にいた女の人は、上映終了後、
「最悪・・・最悪だわ・・・ほんっと最悪」とつぶやいた。のが聞こえた。

幼い息子をなくした夫婦。
妻(シャルロットゲインズブル)は自分の罪と責め、精神を病む。サイコセラピストらしき夫(ウィレムデフォー)は妻を救うのは自分しかいないと思い込み、セラピーに取り組む。「自分が思い込んでいるこうあるべき妻」に戻すために。これが過ちの始まりだった。
妻の恐怖の根源を問いつめ、「森が怖い」というので、妻が論文(妻も心理学者らしい)を書くために息子とひと夏こもった森のなかの小屋でセラピーを試み、次第に、妻の秘密を知ることになる。

森の映像が美しい。
アンドレイ・タルコフスキーを思わせる。
「鏡」では、森・水・火・風などが重要な要素になっていた。
この映画でもそれらがくりかえし現れる。

これは、ラース・フォン・トリアー版の「鏡」なのだ。
パンフレットを読むと、鬱病を患い、そのセラピーとして書いた本だと言う。
まさに、タルコフスキーも同様にして「鏡」を創作した。自らを作った要素を組み合わせ、無意識の映像化を試みることで、映画作家本人を救った。
ただ、「アンチクライスト」は、徹底した救いの無い世界を描くことで、逆説的にトリアーを救ったのだ。自分の鬱そのものを描くことで、トリアーは救われた。

とすると。
ほんとうに深い救済を描くのは次回作だ。
タルコフスキーは「鏡」のあと、「ストーカー」を作った。

エンディングクレジットで、「アンドレイ・タルコフスキーに捧ぐ」とあった。
今年のカンヌ映画祭に出すという、次回作が楽しみだ。
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by higessk | 2011-04-25 00:53 | 映画

劇団ユニット・ラビッツで演劇にひたりまくったり、映画の試写会の感想とか、美術展の感想とか、日々の思いとか。


by higeSSk
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